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【よんだ本】民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

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民衆暴力は大事だと思うので読んだ。

結構おもろかった。おおまかには

 

1章についてちょっとだけ書いてみる。

 

まず民衆暴力といえば一揆のことが思いだされるが、室町時代のおわりから江戸時代初期までは、天草一揆一向一揆など民たちが武器を取り凄まじい徹底抗戦をおこなってきた歴史がある。

 

でも江戸時代に入ってしばらくすると、武器をとるような一揆はほとんどなくなって、直訴や打ちこわしといった、人を殺めないような方法になっていったらしい。

 

江戸時代には、徳のある殿様がよい政治をして百姓たちが暮らせるようにするのが当たり前であり、百姓を食わせられなくなったら百姓も一揆をおこしていいという、「仁政イデオロギー」なる価値観があったそうで、それって今でも大事なことだよなって思った。

 

そこから時代を経て、商品経済が入ってきて、豪商・豪農が現れ貧富の格差が出てくることで、民衆のあり方も変わってくる。世直し一揆というかたちでユートピア的な思想を抱き立ち上がる民衆や、ええじゃないか的なかたちで働く時間を減らしたり、労働を放棄するひとびと、つめに火をともして蛍雪で頑張れ(二宮尊徳を見習えみたいな)と言ってくる支配者たちが現れる。

結局どんなに節制してがんばっても経済構造の激変には持ちこたえることはできず、江戸時代はおわってしまう。

 

いまの時代と重なるものを感じる。

ただいわれるがままに、もうほとんど無い爪に火をともして頑張っても、その先には行き止まりしか待っていない。いまや民衆を食わせられなくなったシステム・体制を改めるような大きい民衆の力が必要だと自分は思う。

 

戦前のこうした擾乱や民衆運動について言及されることがあまり多くない中で、近代史研究の成果とあわせてよくまとまってると思うし、大事な本だと思った。


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